シルバー川柳

 アンチエイジングとは、老化防止を意味する英語で、「抗老化」や「抗加齢」と訳される。加齢によって自然に起こる、しみやしわ、骨や筋力の衰え、動脈硬化や癌(がん)をはじめ、生活習慣病の影響でリスクが高まるさまざまな病気など、その原因を抑制することによって老化の進行を遅らせようとすること、だそうだ。医療、美容、健康、食品といった多くの関連分野で、抗老化に効果があるとされる方法や商品が話題になっている。

 では、精神(気持ち)のアンチエイジングのためには何が有効だろうか?いろいろ考えられる。身近で具体的な目標に向かって励む。社会や人の役に立つ活動をする。多くの人との交わりを楽しむ。おしゃべりや食事をして発散する。生活に笑いがある。

 この「笑い」は効果的だ。落語や漫才を聞いて思い切り笑うのもよし。テレビや映画などの喜劇ドラマを観て笑うのもよし。自らダジャレを飛ばして笑うのもよし。以下紹介するシルバー川柳を詠んだりするのもよし。

 このシルバー川柳が高齢者の中でひそかに人気だということを最近知った。さっそく本屋に行ってみると、確かに『シルバー川柳 誕生日ローソク吹いて立ちくらみ』(ポプラ社 2012年)が店頭に並んでいた。さっそく紹介しよう。

 「まだ生きる つもりで並ぶ 宝くじ」「万歩計 半分以上 探し物」「この動悸 昔は恋で 今病気」「カードなし ケータイなし 被害なし」「土地もある 家もあるけど 居場所なし」「起きたけど 寝るまで特に 用はなし」「目覚ましの ベルはまだかと 起きて待つ」「厚化粧 笑う亭主は 薄毛症」「大事なら しまうな2度と 出てこない」

 どれもこれも痛快にわが高齢人生を笑い飛ばして底抜けに明るい。笑いは自分という存在を相対化して(客観的に)見る視点から生まれる、と言われている。シルバー川柳の場合、高齢化を積極的に受け入れて楽しむゆとりから生まれているようだ。いつも笑いのある人生を送りたいものだ。「笑う門(カド)には福来る」。