今日から受難週

 今日から受難週です。受難というのは、イエス・キリストが受けた十字架上の苦しみと死を指します。受難週は、主イエスがエルサレムに入城した「しゅろの日曜日」から始まる1週間を指す。

 

 福音書を書いた人たちにとってこの一週間の主イエスの行動と言葉とを記すことは、復活記事と共に、その執筆の最大の関心事だったのです。いや、受難の十字架を書くために福音書を書いたと言ってもいいでしょう。そこで、四つの福音書はそれぞれ、かなりのページをさいて受難週を描きました。例えば、マルコは全章数の四分の一、ヨハネは実にその三分の一を受難週の記事に割いています。

 

 四つの福音書の受難週記事には、当然多くの共通点もありますが、また読者を困惑させるような相違点もたくさんあります。それぞれの福音書記者の用いた資料(伝承)と、編集の意図(強調点)の違いによることです。そこで、この重要な一週間に何が起こったのかを、厳密に再現することは困難ですが、とりあえず最古の福音書といわれるマルコ福音書によって、この一週間をたどってみましょう。

 

 ①日曜日(しゅろの主日)エルサレム入城(11:1-10)。

 ②月曜日 宮清め(11:15-19)。

 ③火曜日 神殿説教(11:20-13:2)。

 ④水曜日 オリーブ山説教(13:3-37)。

 ⑤木曜日(洗足の木曜日)最後の晩餐(過越)・ゲッセマネ・逮捕(14:12-72)。

 ⑥金曜日(受難日)ピラトの裁判と判決・十字架の主の死・埋葬(15:1-47)。

 ⑦土曜日(安息日)女弟子たちが香油を準備したこと(16:1)以外、聖書記事なし。

 

 特に、十字架にかかった金曜日は「受難日」であり、初代教会の時代から、主イエスの受難を覚えて、特別な日として礼拝や祈祷会を守ってきました。当教会でも、受難日祈祷会を行っています。この一週間、福音書の受難物語を改めて読むことは有意義でしょう。音楽が好きな人は、バッハの「マタイ受難曲」などの受難曲を聴いて過ごすのも素敵ですね。絵画の好きな人は、受難物語を描いた絵画はたくさんありますから、じっくり鑑賞してはどうでしょう。