東西教会 分裂超え 初会談

「東西教会 分裂超え 初会談」という大きな見出し(朝日新聞2月14日)。記事を読むと、11世紀にキリスト教会が東西に分裂して以来初めてとなる、ローマ法王と東方正教会で最大勢力を持つロシア正教会の総主教の会談が12日、実現した、とある。

 千年を超えての和解の第一歩は、中東・北アフリカの政治的混乱で、過激派によるキリスト教徒への迫害やテロが激化してきた危機感から実現した。フランシスコ法王とキリル総主教の会談は、キューバの首都ハバナの空港で行われた、という。なんだか時代(歴史)が大きく変革していることを実感する。

 東西教会の分裂の歴史を調べてみた。東は、ビザンチン帝国の首都コンスタンチノーブル(現イスタンブール)、西はローマ帝国の首都ローマを中心に発展した。両者は5世紀から次第に溝を深めていったが、教義や慣習に関する相違から、1054年に相互に破門して分裂した。東西の対立を深めた大きな要因は、「神は、父と子と聖霊という三つの姿で現れた」という三位一体論をめぐる解釈の違いである。特に聖霊論。「聖霊は父からのみ発する」という東方に対して、西方は「父と子キリストからも発する」と主張した(『なんでもわかるキリスト教大事典』32p)。

 今回の会談は歴史的だが、東西教会の関係改善に向けた最初の一歩という位置づけがされているが、その一歩が大事。その結果、2時間に及ぶ会談後、両者は中東などで続く迫害やテロに対し、国際社会の緊急対処を呼びかける共同宣言に署名し、12日の共同声明は、シリアとイラクに特に言及し、暴力の中止と平和の回復を呼びかけている。

 教会間の対話は政治とは無関係という見方もあるが、キリスト教会の平和の実現に向けての働きかけは、世界に大きな影響力を持っていることも事実である。教派や宗教間の対話は世界の平和に大きく貢献する。何事にも対話の努力は和解と平和への道と信じる。