今日からアドベント

昨今はしきりに新しいベンチャー産業を求めています。冒険的事業が必要だというのです。それにはしかしまず「冒険する心」がなければならないでしょう。

  そもそも人生には、何かしら冒険の要素があります。またそれが必要なのではないでしょうか。誰もすべて分かりきった人生を生きるのではありません。思いがけない出会いもあります。

  「冒険」とは何でしょうか。他の人がめったにしない危険なこと、スリリングなことをすることでしょうか。「冒険」という言葉には、日本語では「危険を冒す」という意味合いが確かにありますが、ベンチャーというのは、アドベンチャー(冒険)、あるいはフランス語ならアバンチュールも同じで、いずれも「来る」「やってくる」という言葉から由来しています。

  何かが来る、思いがけないことが起きる、その時新しくやってくることの中に信頼をもって入って生きる、それが冒険ということでしょう。

  今日からアドベント(待降節)です。ベンチャーもアドベンチャーもアドベントも、そしてなんとイベント(行事、事件)も語源は同じ「VEN、VENT」(来る)です。

  神が危険を冒してやって来ます。神の冒険的事業がクリスマスです。この冒険で神は御子の尊い血を流しました。私たち人間の冒険はこの神に応えるものです。神を信頼し、その摂理に信頼して成り立つのです。

  現代はベンチャー精神に期待していると言われますが、それは実はキリスト教精神に期待しているのではないでしょうか。神は今朝、私たちを新しく召しておられます。私たちも神の国を待望し、神を信頼して、この世の旅路を新しく出発したいと思います。「冒険する心」をもって。

  「ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、我らのために救いの角を、/僕ダビデの家から起こされた。昔から聖なる預言者たちの口を通して/語られたとおりに」(ルカ福音書1:68-70)。