大切なものはみなただ

太陽の光 野山の緑
 雨川の水 朝夕のあいさつ
 神への祈り そして、母の愛

 なんとすがすがしい詩だろう。読んでみれば、当たり前のことだけど、私たちが忘れているなにかを思い起こさせてくれる。

 河野進先生(1904~1990)は岡山の玉島教会の牧師で、岡山にある国立ハンセン病療養所での慰問伝道として、50年以上の間たずさわるかたわら、多くの心温まる、珠玉のような詩を残された。渡辺和子先生の『置かれた場所で咲きなさい』で紹介されて、多くの人に知られるようになった。

 次の「ぞうきん」という題の詩も素敵な詩。

 こまった時に思い出され
 用がすめば すぐ忘れられる
 ぞうきん
 台所のすみに小さくなり
 むくいを知らず
 朝も夜もよろこんで仕える
 ぞうきんになりたい

 次の詩も心して読みたい。

 主は問われる
 「何を望むか」
 「謙遜を」
 「つぎに何を」
 「親切を」
 「さらに何を」
 「無名を」
 「よかろう」

 渡辺和子先生は『置かれた場所で咲きなさい』の中で次のように紹介しておられる。「求めなさい。そうすれば与えられる」というみことばが、聖書の中にあります。では「何を」求めたらよいのでしょう。私たちはとかく、自分の健康、仕事の成功、問題の解決などを求めがちです。そんな私たちに、河野先生の詩は、キリストに倣う生き方をこそ求めるようにと、諭してくれているのです。(33p)

 損得勘定や自分の欲望ばかりに振り回されず、自分がしてほしいことを、人にしてあげたり、与えたりしたい。恵みの分かち合い。