16時40分

 ある方から読んでみて、と渡された書名は『16時40分』。ちょっと変わった題名。副題に「がんになった臨床心理士のこころの記録」とある。著者は藤掛明氏。聖学院大学准教授でクリスチャンである。以前、カウンセリング講習で2度ほど講義を受けたことがある。著書も何冊か読んで、お世話になっている。

 「16時40分」とは、人生を一日にたとえると、彼ががんの告知を受けた年齢の50歳が、16時40分頃に当たるということだそうだ。人生を24時間で表現するとそういうことになる。それは実年齢を3で割るという方法である。15歳なら、3で割って、朝の5時を生きていることになる。36歳なら12で、ちょうど人生の真昼時にいることがわかる。藤掛氏はがんの告知を受けた16時40分を、日の長い夏は、まだその時間は明るいが、秋や冬になると、あっという間に夕闇が迫ってくる微妙な時間帯だ、表現している。

 さっそく自分の実年齢を3で割ってみた。なんと22時40分。もう完全に人生のお休みタイムに入っている。同時に残りの時間も少なく、焦りも感じる時間帯だ。ちょっと実感とずれている気がした。それに24時は72歳だ。今の平均寿命にもいかない。藤掛氏は3.5で割ってもいいというので、そうすると今19時25分頃となる。もう仕事を辞めて帰宅しているか、やることがあるので頑張って残業しているか、はっきり分かれる時間帯ではある。ちなみに24時は84歳。今の日本の平均寿命と一致する。3.5の方が実感、実態にあっている気がする。皆さん、3.5で割ってみてください。

 ちなみに私の50歳は、神学校に入学した時。3.5で割ると、14時20分前後。確かにまだまだ一仕事やれる時間帯。少し疲れもあるけれど、経験も積んでいるので、残りの時間を考えながら仕事をこなしていける。でも、まだ退社まで数時間もあるのかと思う人もいる時間帯でもあるだろう。皆さんはどう思いますか。3.5で割ると35歳で10時。70歳で夜の8時。

 人生を24時間で表現してみて、改めて今置かれている時を大事に生きようと思わされた。