川柳は世相を映す鏡

 川柳は世相を映す鏡である。恒例のサラリーマン川柳コンクールの発表が新聞に掲載されていた。

 1位は「うちの嫁 後ろ姿は フナッシー」。「後ろ姿は」というところがなんとも妙。前からじろじろ見るのは失礼、後からそっと見ての感想か。人気の「ゆるキャラ」登場、なんともほほえましい。

 2位は「もの忘れ べんりな言葉 『あれ』と『それ』」。これはもう私たち夫婦の日常の会話になっている。でも、「それ」「あれ」と言って互いに分かるようになるまでには長い年月を要するのだ。

 3位は「妻不機嫌 お米と味噌汁 『お・か・ず・な・し』」。「ご飯と味噌汁あるだけまし」という方もおられるだろう。そういう時は、「さわらぬ神(おかみ)にたたりなし」、さっさと食べて寝ることです。

 4位は「帰宅して うがい手洗い 皿洗い」。「うがい」「手洗い」「皿洗い」と「い」で終わる音を重ねて(「脚韻」という)、リズム感をつくりだし、その勢いで当然のごとく「皿洗い」もね、となる。技あり。
 
 5位は「おもてなし 受けてみたいが あてもなし」。これは「あてもなし」を「おもてなし」に引っかける「しゃれ」。言葉遊び。万年ヒラ社員の悲哀がユーモアに包まれている。

 次は以前紹介した坂牧春妙さん(連れ合いのいとこ)から最近「春妙のユーモア句集第2集」をいただいたので、紹介しよう。「個人情報しゃべるインコが逃げました」。個人情報に過剰に神経質になっている世相を風刺か。「年だからとクラス幹事は断れぬ」。その通り、だけど言葉にしてみると面白い。「ぬいぐるみ親が捨てると子が拾う」。子の心親知らず。「ケータイは置いて遊びにいらっしゃい」。まさに現代世相を映し出している。

 最後に自作。「湯の中で『極楽、極楽』言う牧師」。「ケータイでケータイ探す老夫婦」。「オレオレ詐欺 『あれ、それ』世代 狙い撃ち」。笑っている場合ではない。気をつけよう。