ほどよく距離を置きなさい

先日、新聞広告で湯川久子著『ほどよく距離を置きなさい』(サンマーク出版)という広告が目に入った。いやでも目に入る大々的な広告だった。評判で売れてるんだろうな、と思いながら見ていると、「弁護士 湯川久子」とある。ひょっとして「あの湯川さん」。さらに見ていると「九州第一号女性弁護士」とある。間違いなく「あの湯川さんだ」。

 湯川さんはクリスチャンで、今も福岡で活躍されている。15年前か、北九州にいた時、教会近くの公民館で湯川さんが講演されたことがあった。その時、教会員の紹介でお会いしたことがあったので、「あの湯川さんだ」と思わず口に出たのだった。

 さっそく本屋で買って読んだ。やさしく書かれていて、味わい深い文章である。長い弁護士生活の経験から得られた人生の生き方が紹介されている。たとえば「『話す』ことは『離す』ことです」という言葉。「心の中にため込んだ苦悩や怒りを言葉にして誰かに話すことは、心の治療のような効果があります。ただそれだけで苦しみから解放されていくようです」とあります。

 最近、二人の方から話を聞く機会があったが、確かにそうだと思わせられた。一人は50代の男性で、家族とは断絶して独居生活。「愚痴を聞いてくれますか」と言って、30分近く話された。「先生もそう思うでしょう」と言われてうなずくと、ほっとした顔になって帰って行かれた。話すことによって、胸のつかえを「手放す」ことができたのだろう。もう一人は30代の女性。「死にたいのだけど、それはキリスト教ではどうなんですか」という質問から始まったが、結局は今の自分をどう受け入れ、これからどう生きていけばいいのか、という話になった。話すことによって、「死にたい」ということから「離れ」、「生きること」へと方向を変えることができたようだ。

 話すことによって、問題を自分から「離して」距離を置けるようになると、心の持ち方も変わり、問題との向き合い方も変わり、現実も変わっていく、と湯川さんは言われる。

 その他いろいろと示唆に富んだ話が満載です。お薦めします。