平安の源‐信頼

 世の中は信頼で成り立っています。しかし、その信頼を裏切る事件が昨今頻発しています。日本では安全だと言い続けた(だまし続けた)福島第一原発での事故。最近では、韓国の痛ましい旅客船沈没事故。私たちはどのようにして自分の身の安全を守ったらいいのでしょうか。

 

 赤ん坊や幼い子どもは、お母さんに対して絶対的な信頼を持っています。ですから、お母さんの腕に抱かれてすやすや眠ることができます。しかし、その信頼を裏切る事件が頻繁に起きて、児童虐待は今や社会問題となっています。この世で最も信頼できるものとされている母の愛さえもその信頼が揺らいでいるのです。ですから、警官が泥棒をした、と聞いてももう驚きません。ましてや政治家の言葉など信頼する人はほとんどいないでしょう。残念で、悲しいことです。

 けれども、私たちは、家族はもちろんのこと、人間同士は互いに信頼関係がなければ生きてゆけません。信じるということは、人間同士の基礎をなす大事な本能です。人を信頼することなしに私たちは一日として生きることはできないのです。今も保存されているローマの軍人・政治家カエサルの剣には「信頼は武器に勝る」という言葉が刻まれているそうです。心から信頼できる何かを持つことは、どんな武器を持っていることにも勝るというのです。安倍首相を始め日本の政治家に聞かせたい言葉です。

 

 誰かを何かを信頼することは心の平安のために大切です。永久の猜疑は永久の悲劇です。何を信じ、何を信じないのか、それは人生の可能性に大きく作用します。人間は愛と信頼に包まれてこそ成長していくものなのです。その時はじめて、人間の魂のもっとも優美なつぼみは花を咲かせるのです。信頼と称賛は、私たちみんなに必要不可欠なものなのです。これがないと私たちは、人々の無理解と陰険な言動ばかりを感じる、いじけた、ひねくれた者になってしまうでしょう。人間への信頼と深い寛容は、幸せの源泉です。神の全知全能への信頼は、平安の源です。