アドベントです。クリスマスの前の4週間を指します。日本語で待降節と呼びますが、アドベントとは、ラテン語のアド「~に向かって」、ベント「来るべきもの」から来ています。「来るべきもの」とは「救い主」キリストですから、「救い主に向かって」の日々、すなわち待降節なのです。
アドベント・クランツ。四本立てられたろうそくに、一本ずつ火をつけて、主イエス・キリストのご降誕を待つ大切な季節です。クランツとは英語ではクラウン・冠のこと。言うまでもなく、主イエスの十字架の茨の冠を示しています。
「待つ」とは漫然と無為に時間を過ごすことではなく、キリスト・イエスに向かって「待つ」ことなのです。ですから、アドベントそしてクリスマスは、単なる行事ではなく信仰の姿勢です。もちろん行事をきっかけに、信仰が与えられるのはいうまでもありません。要はカレンダーに追われて、肝心なものを見失ってはならないと言うことです。
神学者カール・バルトは『降誕』という書物の中で、こう言っています。「クリスマスの日が明けそめるとともに、私たちすべての者は、多かれ少なかれ次のような問いを、ありありと、切実に、思い起こさせられる。『今日、あなたがたのために救い主がお生まれになった』という音信を、私たちは聞いていたかどうか、と。誰がこの使信を十分に聞いたと言い得るであろうか。この使信を十分に聞いていなかったことを恥じなくてよい者が、一人でもあるであろうか。」
私たちは昨年も確かにキリストの誕生の知らせを聞いたのです。しかし果たして、その出来事に基づいて、この一年を歩んできたでしょうか。この幼子キリストを心から愛して、自分自身を喜んで献げて歩んできたでしょうか。
今年は今までになく早くからクリスマス・イルミネーションが飾られています。不景気を吹き飛ばしたという気持ちの表れでしょうか。そのさなか、総選挙が行われます。イエスはどこに立っておられるのでしょうか。