広い河の岸辺

340年前から歌い継がれてきたスコットランド民謡を日本語に訳した「広い河の岸辺」がヒット中。原題は「The Water is Wide」。訳したのは、南米の竹笛「ケーナ」奏者の八木倫明さん。歌手のクミコさんの歌唱力も手伝って静かなブームを起こしている。

 昨年の12月、テレビ(確かNHK)を見ていると八木さんを紹介しながら、この曲が流れてきた。連れ合いがそれを聞いて、「この曲、賛美歌にあるわよ」と言う。さっそく讃美歌集を持ってきて調べるとあった。「新生讃美歌536 燃え立つ言葉も」、異なった編曲で「新生591 愛する二人に」の2曲。「愛する二人に」は結婚式でよく歌われる。日本基督教団の「讃美歌21」にも載っている(104番)。

 ちなみに日本人なら誰でも知っている「蛍の光」、これもスコットランド民謡だという。このように、ヨーロッパ各国の民謡が日本語に訳され、唱歌や讃美歌として、明治以降広く歌われている。この「広い河の岸辺」、じつはNHKのドラマの「花子とアン」や「マッサン」の挿入歌としても流れていたという。

 訳された歌詞がなかなかいい。
 1番:河は広く 渡れない
    飛んでゆく 翼もない
    もしも 小舟が あるならば
    漕ぎ出そう ふたりで 
 2番:愛の始まりは 美しく
    優しく 花のよう
    時の流れに 色あせて
    朝露と 消えていく
 3番:ふたりの舟は 沈みかける
    愛の重さに 耐えきれず
    沈み方も 泳ぎ方も
    知らない このわたし 
 4番:河は広く 渡れない
    飛んでゆく 翼もない
    もしも 小舟が あるならば
    漕ぎ出そう ふたりで

 あきらめからスタートする歌、「二人で漕ぎ出そう」と歌う希望の歌、人生を一生懸命生きる人に寄り添う歌として、人々の琴線に触れている。美しく素晴らしいメロディと相まって、中高年もいやされているとか。あなたにとって「小舟」とは何か?「希望」「いのち」「お金」「信仰」…。一度聴いてみてください。