できることから始めよう

『シンドラーのリスト』という映画がある。第二次世界大戦下のポーランドで千人以上のユダヤ人を救ったドイツ実業家、オスカー・シンドラーの実話にもとづいた映画である。シンドラーが自分の工場に雇ったユダヤ人は収容所に行くのを免れて、命が助かった。

  戦争が終わった時に、なお自分の元に車が一台残っていた。シンドラーはその車を見て、この車を一台売ってさえいれば、あともう一人でも二人でもユダヤ人の命を救うことができたのに、と後悔する場面がある。

  そのことを知った彼に雇われていたユダヤ人の一人が自分の金歯を加工して指輪を作り、シンドラーにプレゼントする。その指輪の裏に刻まれた文字、それはユダヤ教の教え「一人の生命を救う者が全世界を救う」という言葉だった。

  全世界とか全人類というものはなく、目の前にいるこの人しかいないのである。この人との関係を離れて、全人類という抽象的な概念を考えることは意味がない。全人類のために何かをする、何とかしようとするのではなく、今日ここでこうして出会った、接しているこの人との関係を少しでも変えようと努めることが、ひいては全人類を変えることにつながる、と考えたい。

  主イエスも出会われたその人その人に全力で関わられた。こんな話がある。ある人が浜辺でヒトデを拾って海に返していた。波によって浜に打ち上げられたヒトデは放っておいたら干上がって死んでしまう。それを見た人が言った。「この浜には何千というヒトデがいる。全部を海に返してやることなんかできないだろう。こんなこと、どこの浜でもあることだ。あんたがやろうとやるまいと、たいした違いはない」と。すると彼はにっこり笑って、もう一つのヒトデを拾って海に投げ返して、「でもね、このヒトデにとっては大きな違いだろうね」と言った。

  伝道も同じだな、と思った。

  *『アドラー心理学入門』(岸見一郎著 ベスト新書 1999 178-180p参照)

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