読書感想文

9月に入り夏休みも終わりましたが、夏休みで思い出すのは宿題。毎年、一番てこずったのが読書感想文。何しろ感想文を書くにはまず本を読まなければいけない。当たり前であるがこれが難問。

  何を読んでいいか分からない。さして読みたい本があるわけではない。そこでとりあえず学校の図書室か市立図書館に行って適当に一冊借りてくる。でも、特段読書好きでもないので気にはしつつ本には手が伸びない。夏休みの終わりが近づいてやっと本を手にするが、今度はどう書いていいか分からない。そんなこんなでいつも適当に書いていた気がする。

  中学三年の夏休み。今年こそはと読書感想文のために島崎藤村の小説『夜明け前』に挑戦。ところがである。蒸し暑い畳の部屋で寝っ転がって読み始めたものの1ページで本を閉じて断念。とてもこんな分厚い小説を今から読んで、さらに感想文なんか書く余裕はないと思ったのだ。

  そこで、自由作文に切り替えた。身近なことがいいと考え、隣のちょっと変わったおじさんとその子どもたちの生活ぶりを少し面白おかしく描いた(実際おもしろいおじさんと子どもたちだったのだ。よく遊んでもらった)。あっという間にすらすら書けた。なんとその作文が校内で選ばれて優秀賞をとり、さらに市内の作文コンクールで佳作をとったのだ。文才があるなんて思ってもみなかったので本人が一番びっくりした。

  先日の新聞に「読書感想文マニュアル論争」という見出しの記事があった。感想文の「書き方マニュアル」を配布した小学校があり、その詳細な内容をめぐってSNSで賛否両論の意見が飛び交っている、というのだ。

  上記のような私の子どもの頃の経験と長年の国語教師としての経験から言えばマニュアル賛成派である。好きなように書けばいいなんて言ったって、書けるものではない。何事も真似、お手本、マニュアルに従ってきっちり基礎基本を身につけることが上達の早道。作文もしかり