平塚バプテスト教会前史

今日(6月18日)は当教会の教会組織67周年に当たる記念の日である。そこで少し教会の歴史を振り返り、神の導きと恵みの数々を想起し感謝したい。

 当教会の『創立50年誌』(2000年発行)の年表に「1946年(昭和21年)10月 長尾三二牧師居宅にて伝道開始」とある。これが平塚バプテスト教会の伝道開始とされている。しかし、教会の前史ともいうべき苦難の歴史がある。『創立50年誌』にO兄が次のように書かれている。「この度、数少ない資料や写真を整理しながらある感慨をもった。私たちの教会は、上記の歴史以前に、幾人かの先達が戦時下宗教弾圧の中でも堅く保持した“生ける神の子キリストを告白する信仰(岩)”の上に建てられていること、それを継承していくことが私たちの責任であると深く思わされたのでる」。

 初代牧師である長尾先生は戦時中信仰弾圧に遭われた。以下、O兄の寄稿を参照にしてまとめてみた。1942年(昭和17年)6月26日に元ホーリネス教会の牧師たちが治安維持法並びに宗教団体法に対する違反容疑で全国一斉に96名が検挙された。その中に長尾牧師も含まれていた。当時37歳。その後、10ヶ月間拘留され、1943年(昭和18年)4月23日に釈放される。獄死した牧師もおられた。

 今まさに日本はかつての悪法「治安維持法」に通ずる「共謀罪」法案を国会で成立させた。特定秘密保護法、安全保障法制なども数の力で成立させている。他人ごとではない。教会も共謀罪の捜査の対象にならないという保証はどこにもない。

 さて、戦後いち早く平塚で伝道されていた長尾先生は、1946年、目白ヶ丘教会の熊野清樹(ゆや きよき)牧師によってバプテストの群れへと導かれ、その後(1948年10月)目白ヶ丘教会平塚伝道所として福音宣教を進められた。その間、1947年4月、目白ヶ丘教会を含む全国16の教会によって、日本バプテスト連盟が結成されている。今年は連盟結成70周年である。

 このような教会設立までの前史を持つ平塚教会はこの平塚の地において「世の光、地の塩」として福音を宣べ伝える働きをこれからも担っていきたい。先輩たちの苦難の歴史を忘れてはいけない。