おはなしのへや

日本バプテスト連盟や神奈川バプテスト連合の牧師や教会の人たちとは出会う機会も多いし、親しい交わりの恵みに与かることができ感謝である。しかし、近隣の他教派の教会の牧師や教会の人たちとは何年住んでいてもその機会がなく、交わりがほとんどない。少し寂しい思いがしていた。

 そんな中、あることが縁となり、八重咲町にある湘南キリスト教会の方々との出会いが与えられた。その中のお一人で伝道師をされている澤谷由美子先生から自著である『おはなしのへや』(いのちのことば社 2005)をいただいた。副題に「お母さんのための絵本の旅」とある。「読み聞かせのすばらしさ、子育ての意味深さ、自分を育てることの楽しさをつづった、女性のためのエッセイ集」と本の帯に書かれているが、読んでみて、改めて「読み聞かせのすばらしさ」を再認識した。

 私も子どもや孫に随分絵本の読み聞かせをしたが(今も時々しているが)、それはただ、彼らと触れ合う時間、楽しい時間を共有するためだったような気がする。絵本そのものの持っている力、楽しさ、意味深さには思いがいってなかったようだ。

 この本にはたくさんの絵本が紹介されている。最近、孫が持ってきた絵本に『のろまなローラー』があり、読んで聞かせたばかりだが、この本が、「『のろまなローラー』は、地味な作品ですが、淡々とわが道を行くローラー車の姿がすがすがしく、このように生きたいものだと思わされます」と紹介されていた。

 友だち・出会い・春を描く、と紹介されている『とんことり』。この絵本は数年前、孫によく読んでやった絵本。「とんことり」という題名は、郵便受けにスミレの花束やタンポポの束、手紙が落ちる音である。「とん、ことり」。その擬声語が面白く、また読んでいくうちに何度も出てくるのでリズム感が楽しい。また絵も昭和の香りがする懐かしさがあり、忘れられない絵本だった。「『スミレ、タンポポ、手紙、折り紙人形……』を『トン、ことり』と郵便受けに入れて近づく。私たちはこんなにも心をこめ、熟慮した出会いをつくっているでしょうか」と書かれている。

 幼い子どもの柔らかい心にしみ込んでいく絵本万歳。