生命(いのち)のメッセージ展

飲酒運転による交通事故が後を絶たない。また、最近は脱法ハーブ吸引による事件・事故が頻発している。遺族の心情を思うとやりきれない。

 そのことに関連して、7月18日の朝日新聞の「天声人語」に、交通事故犠牲者らの等身大パネルを展示する「生命のメッセージ展」が紹介されていた。それで思い出した。

 今から13年前、座間市の市民ホール周辺を散策していると、ロビーで何か展示会をしている。覗くとその展示会が「生命のメッセージ展」だった。ロビーに所狭しと交通事故などの犠牲者の等身大パネルがあり、その足元に靴や遺品が置かれていた。はじめその展示会の目的がよく分からなかった。それほどユニークな展示であったが、しかし、パネルや靴から犠牲者の静かだが無念の叫びが聞こえてきた。よほど印象深かったのだろう、チラシが取ってあった。以下、チラシのメッセージを紹介する。

 人が暴力的に生命を奪われることなく、せいいっぱい生きることができる社会を夢見ています。戦争はない、殺戮はない、犯罪はない、被害者は生まれない世界。人は自然の摂理で生まれ、老い、自然に死んでいく。こんな当たり前のことを「夢」と語るのが悲しくもあります。しかし現実には、多くの生命が犯罪や社会の不条理のもとに生命を断ち切られています。ひとつとして忘れることのできる命はありません。私たちは、彼らの生きた証をたどり、大いに泣き、笑い、語りませんか。過去にしがみつくのとは違います。亡くなった生命が教えてくれることを探すのです。思い出をたどれば、心の傷に触れるでしょう。しかし、私たちは、逃げることなく現実と対峙しようと決心しました。…(中略)…「生命のメッセージ展」は、暴力的に生命を断ち切られた彼らへのレクイエムであり、私たちの反省であり、夢への道しるべです。…(中略)…私たちは「生命のメッセージ展」の空間に、そんなメッセージをこめています。

 今もこの展示会は全国各地でひらかれている。