バチカン最新事情

バチカンは二つの顔を持つ。12億の信者を抱える世界最大の宗教団体(ローマ・カトリック教会)であると同時に、世界で最も小さな独立国(バチカン市国)でもある。キリスト教精神に基づいて平和を実現し、差別撤廃や人権の尊重を世界に広めることを目指している。

 と言っても、米国・ロシア・中国といった大国のように軍事力や経済力を持つわけではない。国境を越えて世界各地に信者と聖職者を持つネットワークこそが、バチカンの、そしてその頂点に立つ法王の外交の力の源泉であり神髄である。

 最近では、半世紀以上にわたって国交を断絶させてきた米国とキューバの和解に向け、仲介役を果たしたのが、現在の法王フランシスコだと言われている。「法王外交」が再び力を発揮し始めている……。そう実感させられる世界を驚かせたニュースだった。

 その法王フランシスコはアルゼンチンのブエノスアイレス生まれのイタリア移民2世。約1300年ぶりの欧州以外からの選出だそうだ。フランシスコ法王は「貧者の教会」を掲げ、誕生日には法王庁近くに寝泊まりするホームレスを招いて朝食をともにする。人なつこい笑顔を絶やさず、難しい教理よりも「よいお昼ご飯を」と、わかりやすい言葉で演説する。

 そればかりではなく、バチカンの官僚組織の改革にも乗り出している。12月28日の「牧師室より」で紹介したが、昨年のクリスマスのあいさつで枢機卿に向けて語った「バチカンが患う15の病気」。そこで、「教会は自分の殻に閉じこもっている」現状を批判し、克服を訴えている。

 さらに「世界の『辺境』にあまねく福音を伝える教会を」と訴えている。法王がブエノスアイレスの大司教だった頃、彼はいつも「最も苦しんでいる人、社会の周縁部の人々に近づくべきだ」と言っていたという。

 以上紹介したこれらの働きは、私たちの教会にとっても大変示唆に富んだ内容であろう。