阿波根昌鴻さん

6月21日(日)の午後、川崎バプテスト教会での「6・21平和集会 ~沖縄の祈りに心合わせて~」に参加した。講師は川平朝清氏(青葉キリスト教会員)である。息子さんたちのテレビなどでの活躍は皆さんご承知の通り。川平氏は88歳の高齢であるが、落ち着いたしっかりとしたよく通る話し方と声。さすが元アナウンサー。

 川平氏の貴重な経験とそれに基づく歴史認識に多くのことを教えられ、学ぶことが多かった。内容は平易でしかも深い。その中で紹介された阿波根昌鴻(あはごん しょうこう)さんの話には特に感動した。阿波根さんは1901年沖縄に生まれ、17歳でクリスチャンになる。敗戦によって伊江島の自らの土地が米軍に接収されたのを契機に、米軍強制土地接収に反対する反基地運動を主導した平和運動家である。

 彼は反対運動を徹底した非暴力抵抗で行った。そのための「陳情規定」が作成された(1954年11月23日)。これがすごい。

 一、反米的にならないこと。…相手を敵と見なさない姿勢はすごい。普通、反対運動するときは敵をはっきりさせ、感情も含めて憎しみを増幅させて運   動を盛り上げていくのが常套手段。
 一、怒ったり悪口を言わないこと。…なかなかできることではない。
 一、必要なこと以外はみだりに米軍にしゃべらないこと。正しい行動をとること。ウソ偽りは絶対に語らないこと。
 一、会談のときは必ず坐ること。
     …(中略)… 
 一、人道、道徳、宗教の精神と態度で折衝し、布令・布告など誤った法規にとらわれず、道理を通して訴えること。
 一、軍を恐れてはならない。…畏れるのは神のみ。次がまたすごい!
 一、人間性においては、生産者であるわれわれ農民の方が軍人に優っている自覚を堅持し、破壊者である軍人を教え導く心構えが大切であること。
   …「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5:9)と響き合う規定である。

 ことあるごとに読み返したい「陳情規定」である。